第18回は、「誰もが職人になれる時代」です。
以前、柊研究所が手本とする組織Fablabについて書いていました。
読んでいない!忘れた!という方のために、少し振り返ると、Fablabという組織は、ひとつの空間の中で「ほぼあらゆるものをつくる」というコンセプトを持った組織です。何が新しいのかというと、これまでのものづくりが、ひとつの製品を生み出すのに多くの人が関わるのに対して、Fablabの考えるものづくりは、デザイン、設計、試作のすべてを少人数でひとつの空間で実現するものでした。
今回は、その新しいものづくりのシステムがあることで、誰もが職人になれるという話をしたいと思います。
心を掴む作品は個人の中にある
職人というと少し異世界のことのように感じますが、ここでは、デザイナーやエンジニア、プログラマーなどのスペシャリストのような専門的な能力を持った人たちのことをいうようにします。
今、彼らの多くは企業の中に属しています。
クリエイティブな空想を持っていても、普通の企業では、賢い人達の批判に晒され、その魅力的なアイデアは少しずつ形を変えて、いつの間にか消えていってしまいます。
もし、彼らが少人数で試作までできる空間で働いていたらどうでしょうか?一見すると風変わりなアイデアでも実際にものになると、人の心を掴むエッジの効いた作品になるかもしれません。ああでもない、こうでもないと悩むよりも、つくってみて世の中に問う。それぐらいのスピードが今の社会なら出来るのです。小型化した加工用の機械、イメージを描けるアプリやソフト、それを形にできる3Dプリンタ、そして出来たものを世の中に広めるSNSなどのネット媒体。すべてをひとつの空間にそろえることができます。
誰もが職人になれる時代です。
少し前にツイッター経由で、こんなアンケートをみました。高校生800人に聞いた「将来なりたい職業」というもので下のような結果。
ソニー生命保険株式会社「中高生が思い描く将来についての意識調査」より抜粋
プログラマーや絵を描く職業など、クリエイティブな職人気質の職業に憧れを抱いている人が多いのがわかります。
今では、職人がつくった一点ものは少なく、ネットに溢れている大量生産のものを買って消費する方が断然多い世の中になりました。やっぱり、誰かが使ってレビューをしてくれている商品は安心感があります。
でも、みんなが同じものを使っているときだからこそ、個性的な一点ものを求める人たちが少しずつ増えてきるように感じます。
最後に本の紹介です。
以前にも紹介したFablabの創設者Neil Gershenfeldさんの本です。
新しいものづくりを世界に広めた方です。
Fab ―パーソナルコンピュータからパーソナルファブリケーションへ (Make: Japan Books)
- 作者: Neil Gershenfeld,田中浩也,糸川洋
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2012/12/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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