柊研究所の備忘録

アート×ものづくり×教育を考える研究者です。

イノベーティブな若者の心構え

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プロジェクトが発足するするときよくこんな言葉を耳にする。

 

今回は社内の若手を中心に選んだ。自由にやってほしい。私たちベテラン勢では思いつかないようなアイデアを出してくれ。

 

今、世の中の経営者に「御社に必要なものは?」と尋ねると決まってイノベーションという言葉が返ってくる。イノベーションとは、不確実なもの。みんながあっと驚くもの。常識をひっくり返すもの。でも、これまで会社の文化をコツコツと創り上げてきたベテランたちはもう考え方の軸が固まってしまっている。今さら自分たちらしくないことなどと言われても簡単には思いつかない。そうだ、それならまだ会社に染まっていない若手に任せてみよう。というような流れで、どの会社も若手中心のプロジェクトが発足する。伝統を重んじるのではなく新しい風を歓迎する。

 

結果どうなるか。多くの場合、可もなく不可もなくでプロジェクトは終わる。若者たちはせっかくもらったチャンスとがむしゃらに頑張り上司たちをあっと言わせようとあの手この手でプレゼンする。評価者であるベテランたちは、自分たちが考えもつかなかった目からウロコのアイデアを期待するが、いざ聞いてみるとまったく論理的でない筋が通らない提案ばかり、君たちはもっと成長する必要がある、でも、可能性は感じたから引き続き精進してくれ。と当たり障りのない形でプロジェクトは終わっていく。

 

染まらない考えとは?

そもそも会社に染まっていないとはどういうことなのか。僕の家には、0歳児の子どもがいる。彼女はまだ言葉を喋れないが自分の好きなおもちゃを選ぶことはできる。例えば、左手にねこ、右手にブタの人形を持ったら、彼女は、左手のねこを掴もうとする。このどちらが好きかを繰り返して、10程度のおもちゃを一つずつ順位づけをしていった。その結果が下のツイート。

 

 

上位の左側にあるおもちゃたち(?)はリモコン、うちわ、おしりふき。もうおもちゃではない。大人が「子どもが欲しがるものを選んで。」と同じことを聞かれたら、これはおもちゃじゃない。と無意識のうちに枠をつくってしまう。

 

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おもちゃに限らず、知らず知らずのうちに枠をつくってしまう。機械工学の枠、プロダクトデザインの枠、上司の好みの枠、、、枠が増えていくことで何かを決めるのが楽になっていく。枠の数は経験値とも言える。

 

この枠に入れておけば確実にクオリティの高いものを提供できる。

 

ただ、この枠の中からは、不確実なイノベーションは出てこない。枠の外の広大な領域から探さなくてはならない。枠の外に目を向けるにはどうしたら良いか。

 

そこで考え出されるのが、枠を持ってない人に任せること。会社の若手が選ばれるのはこの理由からだろう。若手社員は少なくとも会社経験のなかから構築される枠は持っていない。

 

冒頭の例に戻ると、若手プロジェクトでは、上司をあっと言わせるものをつくるべきではない。これまで枠の中で、活動していた人が枠の外を判断することは難しい。判断は市場に直接問うべきである。クラウドファンディング、Twitter、Instagram、今は市場に直接話しかけるための手段が充実している。

 

例えば、東芝はクラウドファンディングサイト「Makuake」で酔いを視覚化するデバイスTISPYの資金調達に成功している。

 

アナタの酔いをコントロール。大人の新習慣、学習型アルコールガジェットTISPY | クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)

 

大手企業もあの手この手でイノベーションの創出を狙っている。枠の外から探すのは簡単なことではない。だからこそ、失敗を恐れない若い力が求められている。

 

イノベーティブな若者の心構えは枠を超えて考えること

 

 

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