柊研究所の備忘録

アート×ものづくり×教育を考える研究者です。

つまらない授業の不思議

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 眠り猫を描いてみました。今日のテーマはつまらない授業についてです。

 

授業をきいてつまらない、眠くなるなんて経験はきっと誰もが一度はした経験でしょう。生徒にとって、退屈な授業は頭に入ってこない。でも、教育者にとっても、生徒が聞いてなかったり、寝ていたりすると、せっかくの伝えたいことが伝えられない。だから、つまらない授業というのは、お互いにとってあまり良いものではありません。

 

なぜ授業がつまらないか

その内容に興味がなく情報の使い道がないことが主な原因だと考えられます。本来、人の話を真剣に聞くときは何か目的があります。その現象のメカニズムが知りたい。人に話せるトリビアを集めたい。話し手の話し方を学びたい。話を聞いて笑いたい。などなど、目的はいろいろですが、何かを成し遂げたいことがあるからこそ、人の話を真剣に聞きます。初めから教える内容が決まっている授業は、いくら話し方が上手な先生でも、多くの生徒を満足させることは難しいものです。生徒ひとりひとり求めているものは違うのですから。では、生徒も参加できる双方向の教育とはどんな教育を指すのでしょうか?

 

双方向の教育の難しさ

生徒が発言する機会を増やしたり、積極的に授業に参加することをアクティブ・ラーニングと呼び、近年、文部科学省を中心に効果的なアクティブ・ラーニングが模索されています。一方で、これまでインプットを主体として行われていた教育から生徒にアウトプットさせる教育に変えるのは、けっこう難しいことです。例えば、歴史を学ぶとき、これまでの教育なら、年号や歴史の主要な出来事に関する知識をインプットして、後にそれを虫食い形式でテストして埋めれた数を点数化して評価する。これに、アクティブラーニングな側面を取り入れるなら、歴史上の人物になりきり、その視点で歴史を観察した結果をみんなの前でプレゼンテーションする。自ら考える力を養うなら後者の方が断然身につきます。歴史上の人物になりきることは、「なぜその行動を起こしたのか?」という教科書の範囲を超えた答えのない心情まで考える必要があり、深く考える力がつきます。でも、後者は評価者にとっては点数化が難しいです。

 

 教育の優先順位

 インプット主体の従来の教育の一番のメリットは、評価しやすいことにあると思っています。評価しやすく点数化しやすい、大量の人数を一度に並べることができる、レベルに合わせてシステマチックに教育を与えることができる。でもこれは、一見公平にみえて、テストが得意かどうかでレベル分けをするという不公平な評価になっています。本来、教育の最大の目的は「生徒が自立して生きていく力を身につける」ことにあります。それがいつの間にか、「簡単に評価出来てレベル分けできる。」という評価者視点の目的に変わってしまっているのかもしれません。個人的には「大人数を定量的に評価しなくてはならない」という前提条件を一旦忘れて、良い教育とは何かを考える必要があると思っています。

 

 良い教育とは何か?

 改めて良い教育とは何かを考えてみると、それは、思い返す授業だと思います。その授業がきっかけで何度もテーマについて思い出して考える。例え授業時間が1時間でも、学習効果は、10倍にも20倍にもなります。そんな生徒の想像力を刺激する授業こそ良い授業なのだと思います。

最後に生徒の積極的な授業参加を実現した例として、TEDでJHON HUNTERさんがプレゼンしたWorld Peace Gameの動画を紹介します。

John Hunter: Teaching with the World Peace Game | TED Talk

 

ときには、先生よりも生徒の方が魅力的な答えを持っている、それに気づかせてくれるような授業こそ、本当のアクティブラーニングと言えるのかもしれません。

 

 


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1年くらいレールから外れることの価値

前回のブログに引き続き学生のための教育機関柊研究所の構想について当時の資料を引っ張り出して、備忘録にまとめておきます。

 

前回は、『早期教育で大事なのは知識より経験』という話をしました。

http://www.hiragilab.com/entry/2017/07/19/184455

 

柊研究所のビジョンは『人生の寄り道を社会への近道に』でした。今回はそのビジョンを考えたきっかけについてです。

 

 

1年くらいレールから外れてみる

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そんな考えがふと浮かびました。たった1年。でも、そのたった1年が実は結構な決意がいるのだと思います。

実は、僕たちのキャリアの大枠はすでにレールが敷かれていて、その1年がなかなか捻出できません。

試しに、人生をざっくりと年表にしてみると、

 

小学校を6年間

中学校を3年間

高校を3年間

大学を4年間

社会人を38年間

 

多くの日本人はそれぞれの期間は違えど、大体これに当てはまります。小学校に入学してから、54年間ずっとどこかの組織に属した状態で、夏休み、年末年始など決まった休日以外は毎日そこで過ごします。もちろん、その毎日の行いは無駄ではなく、学習は自分の成長に、労働は経済を発展させてみんなの生活を豊かにします。

 

でも、たった1年なら、どこかの間で寄り道しても良いのではないでしょうか。

 

欧米ではこの1年をギャップイヤーと呼び、高校から大学入学までの期間に長期の休暇をとって新しい経験をすることが推奨されています。それでも取得率はまだまだ少ないそうです。

 

僕は社会人になる前に1ヶ月ーストラリアで過ごしました。たった1ヶ月でも、相部屋で他国の人と日本の文字について話したり(生まれて初めて自分の書いた字を美しいと言われました。)、知らない土地を街の人に聞きながら行き当たりばったりに歩き回ったり、数日の旅行ではできない経験をしました。そこで、半年間オーストラリアでワーキングホリデーに来たドイツ人など、ギャップイヤーを謳歌する多くの人たちと出会いました。彼らは旅行ではなく、そこに滞在して仕事をして、その生活に溶け込むように過ごしていました。暮らすように旅をするという旅行の仕方をその時初めて実感しました。『こんな経験を引き出す場をつくりたい。』と思いました。

 

 人生の寄り道を社会への近道に

 

それが、柊研究所のビジョンとなりました。一度、レールから外れて研究所で自分のテーマを持って過ごす。トライアンドエラーを何百回と繰り返すことで、専門領域を深めて、自信をつけて、再びレールに戻る。目の前の選択肢が広がり社会への近道になる。

 

そんな組織をゴールとして描きました。

ギャップイヤー、一度、意識してみるとおもしろいかもしれません。

 

(余談ですが、暮らすように旅をすると聞くと『世界ふれあい街歩き』を思い出します。)

 

世界ふれあい街歩き ドイツ ドナウ川をゆく [DVD]

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早期教育で重要なのは知識よりも経験

現在、柊研究所はものづくりプラットフォームFABLABをつくるために計画を進めています。

 

新しいものづくりFablabとは? - 柊研究所の備忘録

 

でも、その構想に至るまでには様々な紆余曲折がありました。きっと、これから先もいろいろあるでしょう。今改めて2年前を振り返るとその時には気づかなかった掘り出し物があるかもしれません。そこで、過去の事業構想の振り返りを備忘録に書いていきたいと思います。今回は最初に描いた構想の話をします。

 

学生のための研究所

 

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2年前に描いた初めの事業構想は、『学生のための研究所』でした。着目したのは、早期専門家教育です。

 

僕は企業の研究所に勤めていて、研究所では専門スキルの高い人がいます。彼らは大学時代に修士(マスター)または博士(ドクター)を取得して、大学時代から答えのない問題に毎日向き合っています。その生活の中で、問題解決能力、ストーリー構築能力、そして、仮説立案能力を高いレベルで培っていきます。「博士は頭でっかちで扱いにくい」とも言いますが、少なくとも僕の周りの人たちは間違いなく会社の将来を担っていく秀才たちでした。若くして、他の部署に引き抜かれマネジメントにまわる人もいました。

 

僕が感じたのはそれだけのスキルを持った人が企業の研究所の中に収まってしまうのはもったいない、という気持ちでした。欧米では飛び級など短期で博士がとれたり、学部を転籍して複数の専門をもったりと、若くして専門を身につける環境が充実しています。日本では、大学受験のときに何気なく選んだ専門から一生抜け出せずにいるなんてこと良くあります。一生を登る山をなんとなく決めるのはあまりにもったいない。まずは、手頃な山の頂上に立ち景色をみる。そうしたら、どの山が自分に合っているのか、きっとみえてきます。

 

知識よりも経験

 

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早期教育。今よりも少し早く15〜20歳くらいのときに夢中になって取り組める研究所があったら。尊敬できるメンターがいて、ググってもでてこない問題に面と向かって取り組む。そんな充実した期間があったら、社会に出るときにもっと選択肢がぐっと広がります。目の前に出されたメニューから選ぶのではなく、自分でビジョンを描く自立した社会人になれます。

 

ここで言う早期教育とは知識よりも経験です。1年先の知識を得ても1年分しか進みません。得た知識をどう使うか。バラバラに散らばった知識をどう繋げるか。トライアンドエラーをひたすら繰り返す経験こそ早期教育の本当のメリットです。

 

そんなことを考えながら『学生のための研究所』を最初の事業プランとしました。

 

今でもこの想いは変わっていません。

 

 

 

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MOMAをもっと楽しむための準備

僕は芸術が好きです。デザインも良いけどそれよりも。妻も芸術が好きです。僕らの新婚旅行のメインはオーロラに出会うことだったけれども、そのまま、ニューヨークでMOMAとメトロポリタン美術館を見に行きました。

 

美術館と聞くと、展示物があり過ぎて何を見たらいいかわからない、なんて人もいるかと思います。僕も少し前までは芸術に興味はあっても、美術館をうまく楽しむことが出来ませんでした。でも、いろんな準備をしたら、MOMAをとても楽しめました。今回は美術館を楽しむための準備を備忘録にまとめてみました。

 

MOMAとは?

MOMAとはThe Museum of Modern Art(ニューヨーク近代美術館)のことで、ニューヨークを代表する美術館の一つです。タイムズスクエアから徒歩10分くらいで着きます。

 

楽しみな作品を事前に決めておく

MOMAは5階建てでとても広いです。美術館の作品をひとつひとつ見て回るとあっという間に日が暮れてしまいます。これだけはどうしても見たい!という作品を決めておいて、真っ先にそこに向かいましょう。その作品の目の前に5分間佇むだけでMOMAにきた価値はあります。欲張らずにひとつの作品との時間を大切に。前もって作品が見つけられなかった人は、飛行機で原田マハの『楽園のカンヴァス』を読みましょう。きっと、アンリ・ルソーの『夢』とパブロ・ピカソの『アビニヨンの娘たち』を観るのが楽しみになるはずです。

 

 

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

 

 この他に僕らのおすすめは、

 

フィンセント・ファン・ゴッホ

『星月夜』

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ジャクソン・ポロック

『ワン:ナンバー 31』

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クロード・モネ

『睡蓮』

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グスタフ・クリムト

『Hope Ⅱ』

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ポール・セザンヌ

『リンゴのある静物』

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写真はMOMAサイトより抜粋

 

 MOMA Design Shopを楽しむ

 美術館の中でもお土産が充実しているMOMA。本館の向かいにはショップMOMA Design Storeがあります。開くと晴れ間が広がるあの傘も実はMOMAの作品です。他にも、現代アートならではの個性的な商品がならんでいます。

 

MoMA スカイアンブレラ 傘

MoMA スカイアンブレラ 傘

 

 

自分で体験してみる

僕は三年ほど油絵を習ってみました。素人で何の素養もなくても芸術は楽しめます。その空間には素晴らしい才能を持った人たちがいて、彼らがどんな風に作品を観るのかを教えてくれました。今まで、ひとつの作品を1分と観れなかったのが、30分その前で佇んでも飽きないようになりました。モネの人を風景のように描く作品に感動すら覚えるようになりました。

 

ほかにもMOMAを楽しむ方法は、きっとたくさんあります。自分なりの楽しみ方をみつけてニューヨークを満喫しましょう。

 


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多動力から生まれる新しい価値

NewsPicks の記事で、多動力が特集として組まれていた。多動力とは、いろんなことに興味を持ち、いろんなスキルを得て、いろんなことに挑戦する力としてホリエモンが提唱している言葉。

 

【新】ホリエモンと西野亮廣。「多動力」を語る

 

注意散漫、三日坊主など長く続かないことに対してネガディブな言葉が多い中で、この多動力はポジティブな意味で使われています。

 

少し前の記事でポジショントークについて書いたが、ポジショントークの中で最も影響力のある行動は新しい言葉をつくることだと思う。例えば、「キモかわいい」。この言葉が出来て一気に評価が変わった芸人さんとかペットとかはたくさんいます。

 

ポジショントークと心の溝 - 柊研究所の備忘録

 

多動力は、僕自身大切にしている行動指針にも近いので、良い言葉ができたなあ、と思っています。今日の備忘録にはこの多動力について考えをまとめました。

 

スキルを得やすい社会

 多動力が世の中に受け入れられたのは、スキルを得やすい時代だからだと思います。例えば英語のスキルを磨きたいとき、昔は海外留学などお金がかかり、働いている人にはハードルが高かった。でも今は、DMM英会話や英会話喫茶など、気軽に英語漬けの環境を実現できる。プログラムのような専門知識を学ぶとしても、TECH::CAMPやUdemyがある。このように、専門知識は大人になってからでも十分身につけられるようになりました。そうなるとスキルそのものの価値がだんだんと薄れていきます。「英会話出来る人はたくさんいる。プログラムをかける人もたくさんいる。」

 

多動力の本質

大事なことはスキルをどう結びつけてどう使うのか。複数のスキルを身につけたからこそ出来る新しい働き方があるのだと思います。例えば、エンジニアリングとデザイニング。この二つを合わせると、スタイリッシュなデザインでかつ機能性を兼ね備えた機構をもつ製品が生まれる。東京大学の山中先生はTwitterにも作品を公開していて多くの人を魅了しています。

 

山中俊治 Shunji Yamanaka on Twitter: "山中研究室の新作、谷道鼓太朗くんの「アルデンテ」。中心で繋がった螺旋構造がもたらす不思議な柔らかさ、新触感。 #TreasureHunting #東大駒場リサーチキャンパス公開2017 https://t.co/QcanwzpCFk"

 

スキルの重ね合わせはこれまでになかった価値を生み出してくれるのだと思います。

 

 興味の湧いたことに時間を

最初から「デザインとエンジニアリングだ!」と決めるのはなかなか難しいもの。まずはなんでも良いので興味の湧いたスキルに時間をかけて習得するのが良いと思います。例え三日坊主で終わってしまっても、後々その三日間が役に立つこともあります。あまり深く考えずにまずははじめの一歩を。新たな世界を体験して、その分野の人や文化に触れることで、自然とビジョンが生まれてきます

 

 

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)

 

 

 

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ひとりを振り向かせるアイデアがイノベーションを起こす

大企業も中小企業もベンチャーも経営者は口を揃えてイノベーションと言います。そのイノベーションについて考えをまとめたので備忘録として残しておきます。

 

イノベーションとは何か

有名な本があります。イノベーションを考えている人が一度は手にとっている本です。

 

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

この本の中で触れているイノベーションは、持続的イノベーションと破壊的イノベーション、前者はこれまでの製品の改良で、後者はこれまでのヒエラルキーを破壊するくらいインパクトがあるもの新しいもの。破壊的イノベーションはハイリスクハイリターンであるため、今の仕組みで利益を享受している大企業が参入しにくい。その結果、破壊的イノベーションが起きた時に、大企業が乗り遅れやすいと言われています。

 

例えばスマートフォン。携帯市場にIPhoneが参入した数年後には国民のほとんどがスマートフォン片手に通勤する世の中に変わりました。

 

冒頭で触れた経営者たちが発するイノベーションはこの破壊的イノベーションのことを言っていると思います。

 

試行錯誤ができる環境を

大企業に目を向けると、多くの経営者は頭を抱え、自分たちも破壊的イノベーションを出さなければ!と新しい社内ワークショップやイベントや仕組みを考えていきます。

 

イノベーションは不確実性のあるものです。良いアイデアがあれば必ずしも発生するものではなく、その時の世の中の動きやイベントなどその時々の環境によって偶発的に起こるものです。だからこそ、大企業には難しい。とくに日本の企業には。

 

大企業がイノベーションを起こすために取るべきスタンスは卵を産むことです。大企業の良いところはその資金力と優秀な人材です。彼らの2割はイノベーションに集中させること。よく見るのは、寄せ集めのグループの短期プロジェクトで片手間にイノベーションを実現しようとする試み。ダイソンは掃除機の開発のために5127台のプロトタイプをつくったと言われています。片手間で出来ることではありません。

 大量のトライアンドエラーを繰り返すためには、そのための環境を整える必要があります。日本の企業に難しいと言った理由はここにあります。日本企業は階層がきつく敷かれていて、1つのプロトタイプをつくるまでに多くの承認を得る会社が多いです。2割の優秀な人材を常にイノベーションに時間を費やし、必要な資金を用意して、リソースも適宜提供して、満足させるべきターゲットを明示する。それ以上の干渉は一切しない。イノベーションで大事なのは教育よりも環境です。自発的に行動できる人を適切に配置すれば良い。環境を整えて卵を産んでひとりでにアイデアが産まれていくようにします。

 

 

顧客像を明確に

中小企業やベンチャーが注意すべきところは、顧客視点を忘れないこと。閉じた空間で長い間開発をしていると、常識がずれてきてしまいます。それは、エッジの効いた製品という意味では良い面もありますが、多くの場合、開発者のエゴであり顧客に受け入れられません。開発するのが楽しい製品ではなく、顧客が喜ぶ製品を考えることです。顧客視点を忘れないためには、明確にターゲットをイメージすること。存在しない空想上の人物でも良いので、できるだけはっきりとその人の性格から家族構成、休日の趣味まで。顧客をつくりだす分析をペルソナと言います。下記のブログに例が載っています。

 

誰でもできるペルソナの作り方〜マーケティングの現場で活用できる良質なペルソナを作る手順 | カイロスのマーケティングブログ

 

このように具体的なひとりが夢中になる製品を生み出すことができれば、それはイノベーションになる可能性を秘めています。

 


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VALUに期待すること

5/31に自分の価値をトレードするサービスVALUがスタートしました。人気ブロガーさん達のお勧め(煽り?)も受けてものすごい勢いで拡散しています。

 

VALU | だれでも、株式会社のように、あなたの価値をトレード。

 

僕もまだ全体像は見えていないのですが、VALUとは、株の売買のような仕組みを個人に適用したシステムで、ようは人気投票のようなものです。ここで言う人気は良い人気だけでなく悪い人気も含まれます。影響力の高さ。たとえば、ホリエモンの株が1000円で売られていて、1000円以上で買いたい人が多ければ株価は上がり、1000円以下で買いたい人が多ければ株価が下がる。これは、普通の株式売買と同じなので株をやったことがある人ならなんとなくイメージできるのではないでしょうか。

 

株価の上下の仕組みはこちら。

株価が決まる仕組み - はじめての株式投資入門

 

 

ちなみに、VALUの意味はVAL(Value)+U(you)、

あなたの価値だそうです。

 

開発者の考えは中村氏のブログに書いてありました。

 

http://nakamurahiroki.com/2017/06/05/valuというサービスを公開しました/?platform=hootsuite

 

VALUはまだβ版なので様々な課題を含んでいそうです。数ヶ月後には無くなっていたなんてこともあるかも。でも、良い方向に行けばとてもおもしろいサービスだと思います。期待できること・懸念されることを書いていきます。

 

個人のマネタイズがしやすくなる

社会的には価値があるけど、お金が集まらない。という事業がやりやすくなります。最近は、クラウドファンディングなど株式会社をつくらなくてもお金を調達する手段が増えてきました。クラウドファンディングでは、「この製品が完成したらあなたにあげますよ。」みたいな約束をしてお金を調達していました。プロジェクトを基準とした資金調達です。それに対してVALUは、その個人のやっていることすべてに関する価値です。従って約束がなくても上場出来て何も売っていなくても、注目が集まればその分の価値がつきます。

 

寄付や投資に親しみやすくなる

 日本は貯蓄文化で良い取り組みに対しても寄付や投資が集まりにくい国です。VALUのように個人を応援する仕組みは、ファンのようなものに近く、寄付や投資よりも始めの一歩が踏み出しやすいような気がします。(ビットコインの購入自体の壁はありそう。)次のステップとして、寄付や投資に進む人が増えていけば、お金が世の中に循環しやすくなってくれるかなと思います。

 

転職しやすくなる

自分の価値が世の中に共有されることで、独立や転職への手助けとなりそう。ただ、現状だとオープンなベンチャー企業か外資系の社員くらいしか上場することは難しいかもしれません。

 

デイトレーダーの餌食になる

懸念されることは、VALUそのものが金儲けのツールとなることで、炎上芸人を利用したデイトレーダーの場になってしまうと、 サービスが荒れてしまいそうです。その辺りは運営側の腕の見せ所かもしれません。

 

成長性をみて投資をする

買う側の立場に立ってみます。今はまだスタートしたばかりのサービスなので、有名な人にお金が集まっています。でも、本来の投資は成長性に対して行うものです。投資家は1年後、10年後に大きくなる人に投資をします。いくら素晴らしい事業であっても今後の成長が見込めない場合は、価値が下がる可能性があります。

 

僕個人としては、ものづくりに関わるフリーランスが増えていってほしいという考えを前に書いています。

 

誰もが職人になれる時代 - 柊研究所の備忘録

 

だから、このサービスが良い方向に向かえば良いなあと思います。

 

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