柊研究所の備忘録

アート×ものづくり×教育を考える研究者です。

ひとりを振り向かせるアイデアがイノベーションを起こす

大企業も中小企業もベンチャーも経営者は口を揃えてイノベーションと言います。そのイノベーションについて考えをまとめたので備忘録として残しておきます。

 

イノベーションとは何か

有名な本があります。イノベーションを考えている人が一度は手にとっている本です。

 

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

この本の中で触れているイノベーションは、持続的イノベーションと破壊的イノベーション、前者はこれまでの製品の改良で、後者はこれまでのヒエラルキーを破壊するくらいインパクトがあるもの新しいもの。破壊的イノベーションはハイリスクハイリターンであるため、今の仕組みで利益を享受している大企業が参入しにくい。その結果、破壊的イノベーションが起きた時に、大企業が乗り遅れやすいと言われています。

 

例えばスマートフォン。携帯市場にIPhoneが参入した数年後には国民のほとんどがスマートフォン片手に通勤する世の中に変わりました。

 

冒頭で触れた経営者たちが発するイノベーションはこの破壊的イノベーションのことを言っていると思います。

 

試行錯誤ができる環境を

大企業に目を向けると、多くの経営者は頭を抱え、自分たちも破壊的イノベーションを出さなければ!と新しい社内ワークショップやイベントや仕組みを考えていきます。

 

イノベーションは不確実性のあるものです。良いアイデアがあれば必ずしも発生するものではなく、その時の世の中の動きやイベントなどその時々の環境によって偶発的に起こるものです。だからこそ、大企業には難しい。とくに日本の企業には。

 

大企業がイノベーションを起こすために取るべきスタンスは卵を産むことです。大企業の良いところはその資金力と優秀な人材です。彼らの2割はイノベーションに集中させること。よく見るのは、寄せ集めのグループの短期プロジェクトで片手間にイノベーションを実現しようとする試み。ダイソンは掃除機の開発のために5127台のプロトタイプをつくったと言われています。片手間で出来ることではありません。

 大量のトライアンドエラーを繰り返すためには、そのための環境を整える必要があります。日本の企業に難しいと言った理由はここにあります。日本企業は階層がきつく敷かれていて、1つのプロトタイプをつくるまでに多くの承認を得る会社が多いです。2割の優秀な人材を常にイノベーションに時間を費やし、必要な資金を用意して、リソースも適宜提供して、満足させるべきターゲットを明示する。それ以上の干渉は一切しない。イノベーションで大事なのは教育よりも環境です。自発的に行動できる人を適切に配置すれば良い。環境を整えて卵を産んでひとりでにアイデアが産まれていくようにします。

 

 

顧客像を明確に

中小企業やベンチャーが注意すべきところは、顧客視点を忘れないこと。閉じた空間で長い間開発をしていると、常識がずれてきてしまいます。それは、エッジの効いた製品という意味では良い面もありますが、多くの場合、開発者のエゴであり顧客に受け入れられません。開発するのが楽しい製品ではなく、顧客が喜ぶ製品を考えることです。顧客視点を忘れないためには、明確にターゲットをイメージすること。存在しない空想上の人物でも良いので、できるだけはっきりとその人の性格から家族構成、休日の趣味まで。顧客をつくりだす分析をペルソナと言います。下記のブログに例が載っています。

 

誰でもできるペルソナの作り方〜マーケティングの現場で活用できる良質なペルソナを作る手順 | カイロスのマーケティングブログ

 

このように具体的なひとりが夢中になる製品を生み出すことができれば、それはイノベーションになる可能性を秘めています。

 


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